逃れられない呪縛。











其の14   迷子の子











ジャージは持った。

電車にもきちんと乗れた。

出だしは絶好調。そのはずたったけど・・・・・・・。



私は今、迷子のようです。



前回立海に来たときには友人Aが居たから迷わなかったものの・・・・。

すっかり道は覚えたつもりだったんだけど・・・・。

「つもり」って怖い。



歩いても歩いても知らない道にしか出ないし、このままでは帰る時も危うい。

こんなことなら駅に着いた時点で誰かに道を聞けば良かった・・・・・。

でもまぁ、ここだってまったく人が居ないわけでもないんだし、あの男の子のグループにでも・・・・。










「なぁ・・・何でわざわざ神奈川にまで来てんの、俺ら?」

「たまには違う場所に来るんもええやんか。なぁ、跡部?」

「文句があるなら帰りな。」

「向日先輩が居なくてもちっとも困りませんから、帰っても構いませんよ?」









・・・・・・・・・・・・なぜ?


なぜここに彼らが居るんでしょうね?

チッ・・・・東京の中に居ればいいものを。(黒)



しかも初っ端から鳳君は黒いんだね。



遠回しに帰れって言ってるようなものだよ。

向日先輩・・・・いじけちゃってるし。

あ、宍戸先輩に慰めてもらってる!!


あんのオカッパめが・・・・・・。私の宍戸先輩を。(黒)










それより・・・・私ってまだ気付かれてないよね?

宍戸先輩に挨拶もしないで別れるのは辛いけど・・・・・逃げる方が先決だ。


さよなら、宍戸先輩!(涙)









































ふぅ・・・・・とりあえず何とか駅にまで戻ってきたけど・・・・。

やっぱり人に道を聞いたほうがいいよね。

誰に聞こう?

優しそうな年上に人にするか・・・・それとも同年代の人にするか・・・・。

まぁいいや。すれ違う人に聞いてみよ。






「あ、すみません!!立海大附属中ってどこにあるか教えてもらえませんか?」





「わ〜!可愛い女の子に声掛けられちゃった!!俺ってラッキー!!」






何だこの人。

・・・・跡部先輩と忍足先輩と同じ種族?

声掛ける人間違えちゃったかなぁ・・・・。

髪の毛もオレンジで怪しいし。

しかも加えて軽そうだ。





「あのー・・・・・・。」

「あぁ、ごめんごめん!!立海に行きたいんだっけ?俺も近くに用事があるから一緒に行こっか?」

「ホントですか!それは有り難いです。」

「あ、氷帝の制服着てるってことは氷帝の子か〜。」

「はい。えーっと・・・確かその制服は・・・・・。」

「山吹だよ。俺、山吹の3年の千石清純!よろしくね。」




千石って・・・・確か前に聞いたことがあるような・・・。

いつだったっけ?うーん・・・・・。

宍戸先輩と話してた時のような・・・でも何で宍戸先輩が千石さんのこと知ってんだろ?

あ、もしかして・・・・。




「千石さんってテニスやってません?」

「やってるよ!よく知ってたね。」

「私の先輩が話してたのを思い出したんです。」

「氷帝の先輩ってことは・・・・・跡部君?」

違うに決まってるじゃないですか。




一瞬、私の顔を見た千石さんが怯んだような気がしたけどきっと気のせい。

その名前を出した千石さんが悪いんだ。

私は悪くない。





あ、だんだん思い出してきた。

確かテニスの話をしてて、それから他校の選手の話になったんだ。

青学とか立海とか不動峰とか色々聞いたけど、その中に山吹もあったんだっけ。

それで、山吹の中でも特に有名なのが私の目の前にいる千石さんと亜久津さんっていう人。

千石さんはジュニア選抜とかいう、名前だけでもなんだか凄そうなやつで、上手いらしい。

あとは・・・・真田さんとかもそうだったかな?



一見、ただの軟派そうな人にしか見えないけど凄いんだなぁ・・・・。






「そうだ。君の名前、まだ聞いてなかったね。可愛い名前、聞かせて?」

「(可愛いも何も普通なんだけど・・・)です。」

「うん!やっぱり可愛いねvじゃあ早速、しゅっぱーつ!!」






なぜ手を繋ぐ必要が?

忍足先輩と同じパターンですよ、千石さん。


やはり同族?



まぁ・・・・道を教えてもらう立場なんだし、文句言えないけど・・・・。

はぁ・・・・私っていっつも可哀想だ。(自分で言うか)









































おー・・・・・この道は何だか見覚えがある・・・・・。

スッゲー、千石さん。ちょっと感動。(なぜ)


尊敬レベル、ランクアップ。


・・・・・そんなものないけどさ。





「そういえば・・・・何で立海に行くの?もしかして彼氏に会いに行くとか!?」

「いえ・・・・練習試合の時の忘れ物を届けに来ただけです。」

ちゃんってマネージャーとか?」

「私は帰宅部です。マネージャーなんて死んでもなりません。








優希ちゃん・・・・・・そんなに氷帝のテニス部が嫌いなの?

跡部君や忍足君は、いい人なのにね。



性格に問題はあるけど。



笑ってるけど、目が笑ってないよ?

死んでもならないとか、かなりの重症だね・・・・。


よーし、ここは俺が氷帝のテニス部の株を上げてあげようかな!!

同じ学校なんだから、みんな仲良しの方が楽しいよね!!




「ねぇちゃん、跡部君ってスッゴイ格好いいんだよ〜?試合中もね、女の子がキャーキャー言ってんの!!」

「私は千石さんのほうが格好いいと思いますけど。」

「え!?ホントに!?もうちゃん大好き!!」




はっ!違った!

俺が喜んでる場合じゃなくて、株を上げるんだった!


思ってたよりちゃんは手強いな〜・・・・。

上手い具合に話を反らされるし・・・・。

でも、こんなとこで諦める俺じゃないもんね!!




「そうだ!忍足君もね、クールで人気があるんだよ!優しいし、男の俺も憧れちゃうな〜。」

「あんな人に憧れたら人生捨てたようなものですよ。考え直した方がいいです。

「へぇ・・・・そーなんだ・・・・。」





もしかしてちゃんって・・・・・・



跡部君と忍足君のことスッゴク嫌い?



名前出した瞬間に睨まれるんだよねぇ・・・・。

顔が可愛いからいいんだけど、後ろに謎のオーラを放つのはやめて欲しいな〜・・・。

せっかくの可愛い顔が台無しなんだもん。


でもまだまだ!俺はめげないもんね!!





「宍戸君って男らしくて格好いいと思わない?付いて行きたくなっちゃうよね!!」

「はい、私も激しくそう思います!!千石さんもそう思いますか?だったら凄く話が合いそうですね!!

「う、うん・・・・・。」




何だろう、このギャップは?



そっか〜!ちゃんは宍戸君のこと好きなんだね!

なるほどね、だから嬉しそうなんだ。

残念だな〜、好きな人が居なかったら俺が狙っちゃおうかと思ったのに。(ちゃっかり)

でも、俺は女の子の味方だからちゃんを応援しちゃうよ!!

遠回しに宍戸君に聞いてみようかな〜。

うん、今度あったら聞いてみよう!!




































ちゃん、ここが立海だよ!!」

「ホントだ!ありがとうございます、千石さん!!」

「全然いいよ〜。俺は女の子の味方だからね!」



千石さん・・・・いい人だ。

宍戸先輩の良さも理解してくれてるみたいだし!

それにしても、なぜ跡部先輩と忍足先輩の名前が出たんだろう。

もしかして、私が知ってそうな名前の人を出して話を盛り上げようと思ってたのかも。



実際、盛り上がるどころか盛り下がっちゃったんだけどね。






















「あ、もしかして!?うっわー・・・仁王先輩の言う通り、ホントにが来たし!!」

「だから、仁王はそれを知っててわざと忘れて帰ったんだって。」

「何でが持って来るって分かったんスか?」

「他のヤツがちゃんと届けてくれると思うか?」

「・・・・・・それもそうっスね。」







あ、ちょうどいいことに立海の人が居る。

探す手間が省けてラッキー。

仁王さんも居るし、良かった良かった。

おー・・・・切原君が手をブンブン振ってるよ。


疲れるからやめたらいいのに。


丸井さんも居る!もっとラッキーvv

きっと千石さん効果だ!!(気のせい)






「あっれ〜?ちゃん、顔赤いよ?」

「そ、そんなことないですよ!」

「えっ!もしかしてちゃんが好きなのって宍戸君じゃなかったの!?」

「分からないんです・・・・宍戸先輩は大好きだけど・・・・丸井さんも・・・。あ、これは秘密ですよ!」






そっか〜。ちゃんは悩める乙女だったんだね!

そこはキヨにお任せ!!


可愛い女の子に頼られたからには、俺もしっかりしなくちゃね!






ちゃんと俺は友達でしょ?」

「え?・・・・・・・・・・・・・・・・・うん?」





今、かなり間があったよね。

ちょっとショックかも・・・・。





「だから!!困った時には何でも俺に相談して?ね?」

「うん!!千石さん、ありがとう!!」

















「なぁ〜んで千石さんと優希が手ぇ繋いでんスかねぇ?」


















「「(あ、赤目切原君が出て来た・・・・・!!)」」














キヨ&ちゃん、大ピーンチ!!

次回へ続け!









◇◇

あとがき


何て終わり方だ。(汗)
そしてなぜか千石さん登場。一度出してみたかったのです。