長いようで短い1日だった・・・・。
其の13 しばしの別れ 彼の策略
「おい、ジローを見なかったか?」
「いや、俺は見てねぇけど・・・・整列だっていうのにあいつは・・・・。」
「仕方ねぇ・・・探しに行くか。」
「ホントに世話のかかる人ですね、芥川先輩は。」
「日吉、そんなに事実をハッキリ言ったら気の毒だろ?」
鳳君、あなたの発言の方が気の毒な感じがするのですが。
芥川先輩といえば・・・・さっき見たような気が・・・・。
水道場・・・・違うな、ええっと・・・・。
あ、そうだ!校庭のベンチで寝てたんだ。
跡部先輩と忍足先輩の、いつものくだらない言い争いから逃れるために移動したときに見たんだっけ。
あの様子だと絶対まだ起きてないよね。
他の人は・・・・どうやら全員探しに行ってるみたいだし、私が行くしかないか・・・・。
日吉君の気持ちがよぉく分かった。
ちなみに日吉君は・・・・・多分私の味方?だと思う。
あんまり話したことないけど・・・・多分ね。
匂いで分かるのよ、匂いで。
言うまでもなく悪臭を放つのはあの2人。
A先輩(ナルシストの方)とO先輩。
さてさて・・・・考えてないで行かないと・・・・。
また立海の人達を待たせてるんだしね。
あ、やっぱり居た。
案の定、まだ寝てる。
それにしても気持ち良さそうに寝てるなー・・・・。
こっちまで眠く・・・・ってダメじゃん。起こさなきゃ。
「センパーイ・・・・起きて下さい・・・・。」
「・・・・・・・。」
ビクともしねぇ、スゲェなこの人。
そういえば・・・・いつもは樺地君が担いで運んでいるような・・・・。
探しに行こうか・・・・いや、ダメだ!
奴等に出くわしたらどうするんだ私!!
「先輩!!起きましょうよ!!整列です!」
「うーん・・・・。」
寝返りを打ちましたよ、この人。
どうしよう・・・・いっそ蹴ってしまおうか。
いや、さすがにそれは・・・・責任とるのはイヤだし。
跡部先輩が起こす時は起きるんだったっけ?
先輩はどうやって・・・・。
・・・・・・・・・・・・。(回想中)
『おいジロー、起きやがれ!レギュラー外されてぇのか。』
・・・・・真似したくないなぁ。
同じ言葉を発したくない。
でもそうも言ってる場合じゃないし・・・・。
チッ。(黒)
「じ、ジロー、起きやがれ!れ、レギュラー外されたいのか?」(やや優しい)
「それはイヤだ!!」
お、起きた。
マジマジ、スッゲーこの言葉!!(ジロー化)
それより・・・・寝てたらレギュラーから外すって・・・・。
なんと心の狭い。
跡部先輩だから仕方ないんだけどさ。
「・・・・・あれ?じゃん・・・・。あとべじゃないの?」
「芥川先輩、整列みたいですよ。早くコートに戻らないと!」
「ねぇねぇ、がさっジローって呼んだの!?」
「そうですが?」
「じゃあさ、ついでに今度からジローって呼んで!?お願い!」
何のついでなんだろう。
・・・・そんなに目を輝かせて言われても。
「・・・・・・ダメ?」
「いえ・・・・そういうわけでは・・・・。」
そんなおねだりする子供のように言われましてもね。
うーん・・・・・まぁそれくらいなら・・・・。
「では・・・・ジロー先輩でいいですか?」
「あんがと!!俺ってばツイてるC〜☆」
「コートに行きましょう。皆先輩を待ってますよ。」
「うん。行く行く!!」
そして私は、我が子を幼稚園へと送る母親の心境でコートへと向かった。
私と芥川先輩がコートに戻ると、ちゃんと他の人たちは戻って来ていた。
絶対真面目に探してないだろ、この人達。
もち、宍戸先輩は別でv
額に汗をかいているあたり、ちゃんと真面目に・・・・・。
「ジロー!!どこに行ってたんだよ!」
「ごめん・・・・宍戸・・・・。」
「暑い中待ってたせいで汗かいちまったじゃねーか!」
Σそんな!?宍戸先輩!!
信じてたのに!!(勝手な想像)
フッ・・・・・人生こんなものよね。(誰だアンタ)
「悪かったな。待たせちまってよ。」
「いいんだよ跡部。ただし・・・・・貸しは高いよ?」
幸村さん!!あなたまで!?
今、巷で話題の鳳教・・・・いや、幸村教かも・・・・。
・・・・・敵に回したくないなぁ。
どうやら世間には真っ黒な人がたくさん居るらしい。
「それじゃあ、またな!」
「(また?)うん、じゃあね。」
切原君、私にもう一度会うつもりなんだろうか。
遠いのに。
「今度は立海に来んしゃい。待っとる。」
「はぁ・・・・そうですか。」
待ってると言われても。
だから遠いんだって。
「、次回会った時は情報交換ということでどうだ?」
「ええ、任せてくださいよ柳さん。」
ウチのテニス部の情報ならいくらでも横流し・・・・いや、提供しますよ。
「じゃな、。テニス、楽しみにしてるぜぃ!」
「はい!私も楽しみにしてます!!」
丸井さんとももうお別れかぁ・・・・。
でもまた会えるんだし、少しの辛抱よね。
こうして私達は立海と別れた。
よーし、帰ってお茶でも飲むか。
楽しいこともあったけど、不愉快なことも同じくらいあったし。
幸い、テニス部の人たちはミーティングやらで居ないし、帰るなら今のうち。
・・・・・・・・・・ん?
何で立海のジャージがあんなところに・・・・・。
あぁ、誰かが忘れて帰ったのか。
放っておいてもテニス部の誰かがちゃんと向こうに・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・。
送るどころか八つ裂きにしかねない、あいつらは。
だって陰湿だから。(決め付け)
・・・・・私が届けよう。面倒だけど。
それがこのジャージにとって1番安全だし。
善は急げって言うし、早速明日にでも持っていこうかな。
ちょうど日曜だしね。
「あれ?仁王先輩、ジャージはどうしたんスか?」
「あぁ・・・・忘れてきたみたいやの。」
「仁王先輩も結構抜けてるんスね〜。」
「俺も人間じゃけぇ。」
「・・・・・・・・・。」
「どう思うよ、柳。仁王のヤツ。」
「わざと忘れた確率・・・・100%だな。」
「・・・・だよな。」
「が持ってくるであろうことを読んでいるのだろう。」
「さーすが詐欺師・・・・・。」
◇◇
あとがき
さてさて・・・・ようやく練習試合も終わりです。
ジローはおいしいトコ取りですね、まったく。(笑)
仁王も仁王で・・・・何考えてんでしょうね。